私はいつだって。
あなたを出し抜きたいの。
Happy Halloween (N)
「ねぇ」
「はい」
「Trick or treat!」
「………」
目の前で、きょとんと私を見上げるニア。
よし、今度こそ私の勝ちだ!
手には化粧ポーチ。
悪戯の準備は万端。
タイミングだってバッチリだ。
だってニアの手元にお菓子はない。
しばらく手元にあったハロウィンのキャンディも、さっき口に入れてたし。
「どっち?」
目の前のニアは無表情だけど、私の優勢に変わりはない。
座れ座れと手招きするニア。
ようし、まずはその髪をくくってやろう!
ニアの傍ら、しゃがみこんだ、ら。
「……………?!!」
何が起きたか。
わからなかった。
温かいものが。
唇に触れて。
それだけじゃ。
なくて。
「〜〜〜〜〜!!!!!」
飛び退いた私。
口の中、イチゴ味のキャンディ。
それはつさっきまで、何処にあったでしょう?
正解は………、
あり得ない!
あり得ない!
あり得ない!!
そしたらニアが、目の前。
口の端、上げて。
「……Trick or
treat.」
復活しかけた脳内再びスパーク。
私の手には化粧ポーチ。
お菓子なんて一つも持ってない。
そう。
口の中のイチゴキャンディ以外は!