甘ったるいチョコの匂い。
ぱきり。
音を立てて板チョコは、私の口の中。
「甘いなぁ……」
呟いて、私。
今日会う予定だった恋人であるメロの、揺れる金髪、思い出してた。
Happy Halloween (M)
板チョコ大好きなあいつの為に、一応買い込んだんだよね、コレ。
目の前には、板チョコの山。
別に今日がハロウィンだから、て訳じゃなくて。
でも会えない、て昨日の電話。
溜め息つきながら、窓から見えたお月様。
いやぁね、パンプキンみたいな黄色してる…嫌味。
と、ドアフォンが、鳴った。
誰よ、こんな夜中に。
仕方なく玄関に出る。
「はいはーい?」
扉を、開けたら。
揺れる、金髪。
「Trick or trick.」
「め、メロ?!何で?!っていうかソレ、どっちもイタズ……!!」
最後まで。
言わせてもらえなかった。
息を飲むくらい、深く。
深く、キスして。
扉に背中つけて。
息苦しい。
でも心地良い。
頭が 痺れていく……。
やっと解放してもらったら。
ちょっと目元緩めて、メロが、一言。
「だってお前のことだから、菓子は用意してくれてるよな?」
悔しいけど、大正解だよ。
敵わないなぁ。